伝統行事に不可解な風習はつきもの。
イギリスのクリスマスにも、おかしな習慣が多々あるようで・・・。
夫の妹がイギリス人のボーイフレンドの実家のクリスマスパーティーに参加した後、憤懣やるかたなしといった表情でこう言った。
「クリスマスディナーの間中、家族全員がヘンな三角帽(紙を円錐形に丸めたとんがりコーンみたいな形の帽子。よく東急ハンズのパーティーグッズに売ってるようなやつ)を当然の様にかぶっていて、私までかぶらされた!彼氏はおろか、年配のお父さんやお母さんまでその帽子をかぶったまま平然と食事をしていた。ミスタービーンじゃあるまいし、なんなのっ、あれは!」
「みんながクラッカーを大量に買い込んでいて、それを”せーの!”で両脇から引っ張って鳴らすと、クラッカーの中から安っぽい子供向けのおもちゃが出てきた。ばかばかしくて耐えられない!」
夫の妹はエマニュエル・ベアールに似たアンニュイな美人だし、彼女のボーイフレンドは物静かなハンサム。その彼らが三角帽をかぶってるだけでも相当笑えるんだけど、果たしてイギリス人のクリスマスは皆そんななのだろうか?
そこでイギリス人と結婚している日本人の友人に尋ねてみたら、「三角帽はイギリス人のお約束」なんだそうだ。
もちろん彼女のだんなの実家のクリスマスパーティーでも三角帽は絶対着用。
しょっちゅうずり落ちてくる三角帽を手で押さえながら黙々と食事する様は必見とのこと。
彼女のご主人のお父上は、ロマンスグレイ(←死語)のいかにもイギリス紳士といった感じの方で、しかも弁護士だそうだが、それでもパーティーの時は、三角帽着用で大阪の食い倒れ人形状態。
大量のクラッカーもお約束で、クラッカーの中には中国のフォーチューンクッキーみたいな紙切れが入ってて、それにパーティージョークが書いてあるんだそうだ。
それを皆で回し読みをして談笑・・らしいが、彼女には何がおかしいんだか全然わからないという。
それよりもっと恐ろしいのが、頭にネットのついたヘンな形の帽子をかぶり、他の人の投げたボールを頭のネットでキャッチするというわけのわからないゲーム。
これもパーティーの定番で(が、これは彼女の家だけかもしれない)、すべての客が強制的に参加させられる。
もちろんロマンスグレイのお父さんも、お金持ちのマダム風のお母さんも、頭にネットをかぶってキャッチボールを・・。
それを聞いて、暴力団に襲われ、頭にネットをかぶっていた時の故伊丹十三を思い浮かべた私。「マスクメロン」とナンシー関が書いていたっけ。
私の友人も必死に断ったのに、無理やり「頭キャッチボール」をやらされ、その上「写真まで撮られた」と嘆いていた。
おまけに、彼女の招待した日本人の夫婦まで強制的にやらされたとかで、肩身の狭い思いをしたそうだ。
そりゃそうよね。「イギリス人の上流家庭でパーティー!」と思って張り切っておめかししていって、頭に三角帽やらネットやらかぶらされてクラッカーパーン!!じゃさ。落胆もするわな。
今年は彼女の家のクリスマスパーティーに呼ばれる事になってたんで、内心「あたくしと夫にもとうとう三角帽をかぶる時が!」と、ちょっとドキドキしてたんだが、突然マダムがフランスに別荘を買い、クリスマス休暇は一家揃ってフランスに行くとかで、イギリスでのパーティーは中止になってしまった。残念残念。(←ウソ)
ま、私らもお正月には餅食ったり、おみくじひいたり訳のわからない事してるんだから、人の国の事をとやかく言えた立場ではありませんけどね。