世界中で最も有名な日本人女性は誰でしょう?
正解は、オノ・ヨーコです。しかもその地位は30年間微動だにしていないのだから、大したものだ。
一昨日「The
Real YOKO
ONO 」という番組をやっていた。
実は私、昔からオノ・ヨーコには並々ならぬ関心を寄せている。彼女のバイオグラフィーも、サイン入りの「ただのあたし」(小野洋子の著作)も持っている。彼女がいっぱい写っている「ジョン・レノン家族写真集」は、英語版と日本語版と二冊も揃えて持ってる始末。ヤバい?
オノ・ヨーコに限らず、周囲に居たらはた迷惑で仕方がないが、遠巻きに見てる分には好奇心を掻き立てられてやまない人物というのに、私はとても興味があるのだ。でも、「リッチ・フェイマス・ゴージャス」だけじゃダメ。どこかにちょっとイってしまっている所がある人でないと、見ている者としては面白くないのである。
で、オノ・ヨーコだが、英米での彼女のイメージは、「労働者階級のジョンと結婚した貴族出身の日本人女性」、「ドラゴン・レディー」、「ビートルズを解散させた女」といった所だろうか
?
私自身は、今回の特集番組を見て、彼女のイメージに「ナイーヴ」という言葉が最もあてはまると思った。「ナイーヴ」という言葉は、日本では「繊細」みたいな意味で使われる事が多いようだが、英語では「無邪気で天心爛漫」な事で、悪く言えば「世間知らずで単純」というニュアンスで用いられる。オノ・ヨーコというのは、正にその後者の方の意味を体現している女性だと思う。
実際、彼女の育ってきた家庭環境というのは、同年代の一般的な日本人の生活環境とはかけ離れている。
オノヨーコは1933年生まれで現在は67歳だが、彼女の赤ん坊の頃から子どもの時の映像までちゃんと家庭用の映画フィルム(!)で残されており、今回の番組でもその映像が放映されていた。
信じられない様な白亜の豪邸(皇居を見下ろす位置にあったと言う)、毛皮のコートをまとって艶然と微笑む母親、お抱えの運転手のついた外国車、その脇で狂った様にタップダンスを踊る、子どもの頃のヨーコの姿・・。彼女の育ってきた世界は、当時の日本の一般庶民とは無縁だったし、その後も無縁であり続けたと思う。
彼女の英語でのインタビューシーンを見て、私は彼女の「ナイーヴ」さをひしひしと感じた。彼女は高度な教育を受けているし、ジョン・レノンも彼女の知性を褒め称えていたが、番組の中で彼女の喋っていた内容は非常に単純で、あれだけの人生経験を経てきた人の割に、全く深みに欠ける様に思われた。
人間、年をとって来ると普通地声が低く太くなってくるものだが、彼女の声は若い時と全く同じ様に細く高い。声だけだと、「ナイーヴ」な話の内容と相まって、まるで世間知らずのお嬢様が話している様に聞こえる。
彼女は世間知らずのままで居る事を許された「選ばれた女性」なのだと思う。渡米後に彼女が入った芸術の世界も、言ってみれば世間から乖離した場所である。ジョン・レノンとの関係も非常に閉ざされた「彼らの国」の中での出来事で、ジョンはヨーコを誤解して愛していた様だし、ヨーコは世界的なミュージシャンの誤解を利用する事に躊躇を感じないほど、自身の価値に疑いを持っていなかった。
ナイーヴで居続けられるというのは、本当に運のいい事なのだ。
普通は社会がそれを許さないし、ナイーヴなままで生きていくのは本来大変な事のはず。
もちろん、オノ・ヨーコにも彼女なりの心労はあったと思う。それでも、「わたしは美しいし、頭もいい。なんで世間に批判されるのか全然わからない」(小野洋子著:「ただのあたし」より。手元に無いのでうろ覚えです)と言える彼女が、私はとても羨ましい。
出自に関係なくそういう生き方を出来る人は、時に社会の屑となる事もあるだろうが、ある意味では真のエリートなのかもしれない。